茨木のり子がかっこいい

中学だったか、高校だったか忘れてしまったのだけど、教科書に茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」という詩が載っていた。
当時、私は詩に興味なんてこれっぽっちもなかったけれど、
この詩と茨木のり子という女性には強く惹かれたのを覚えている。

なんて強い詩なんだろう、なんて強い女性なんだろう。
こんな風に凛とした女性になりたい、と思った。

茨木のり子という人

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1926年大阪生まれ。高校時代は愛知県で過ごし、その後上京して現・東邦大学薬学部に入学。在学中に空襲や勤労動員(海軍系の薬品工場)を体験し、1945年に19歳で終戦を迎えた。帝劇で鑑賞したシェークスピア「真夏の夜の夢」に影響され、劇作家になる。

24歳頃から詩も書き始め、27歳で詩人仲間と同人誌『櫂』(かい)を創刊。同誌は谷川俊太郎、大岡信など多くの詩人を輩出していく。2006年2月17日、病気のため自宅で死去。享年79。すでに遺書が用意してあった。それがこれ。

「私の意志で、葬儀・お別れ会は何もいたしません。この家も当分の間、無人となりますゆえ、弔慰の品はお花を含め、一切お送り下さいませんように。返送の無礼を重ねるだけと存じますので。“あの人も逝ったか”と一瞬、たったの一瞬思い出して下さればそれで十分でございます」

この人は最後まで、強く自分を貫いた。でも時々見えるかわいいところも、あるんだよ。それが魅力。夫への愛情を(たぶん)照れながらうたった歌もある。

好きな詩

全部載せたいのだけど、あまりに長くなってしまうので、厳選して載せる。一番有名な「わたしが一番〜」は検索して読んでみてください。

私の大好きな詩が、これだ。

自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

まわりや環境のせいにするのは簡単だから、ついやってしまう。うまくいかなかったり、何かに苛立つときにはこの詩を読むようにしている。

彼女は、73歳で「倚(よ)りかからず」という詩を発表した。それがまた、かっこいいので載せておく。

倚りかからず 

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

私は自分の足で立っていて、自分の考えを述べ、でも愛される人生に憧れている。まだまだほど遠いけど、いつか。ね

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