西 加奈子「きりこについて」を読んだ

笑った。読みながら、何度も笑った。それなのに読み終わると、やっぱり何かが浄化されたような感じがして、私はやっぱりこの作家が好きだと思った。

「自意識」とか、「人からどう見られているか」を気にしてしまうとか、西加奈子作品はそういうテーマがすごく多いのだけど、毎回、「そうきたか!」と思う。いろんな人が出てきて面白い。

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あらすじ

「きりこは、ぶすである」という一文で始まる物語は、言うまでもなく、きりこが主人公である。きりこを中心に、そのまわりの人と、猫のことが語られる。両親に「世界一可愛い」と言われ育ち、自分でもそう信じて疑わないきりこ。初恋の人に「ぶす」と言われ、初めて「自分は人とはちがう」と気づく。夜の間、猫と話をするだけで、昼間は眠り、引きこもるようになる。でも、人と、猫と関わるうちに、きりこはきりこでしかない、ということに気づく。

猫の言葉が面白い

猫は賢い。世界のほとんどのことを知っている。なぜ知っているかはわからないが、猫はなにかが起きたとき、「昔から知っていた」と思う。猫が話をしている場面があって、そこが本当に面白かったので引用しておく。猫から見たら、人間て、なんて滑稽なんだろう。

「若い女にやって一番怒ることは、足を覆っとる薄い膜、すとっきんぐす、いうやっちゃな、あれを引っかくことや。すとっきんぐす。」

「おばはんらが一番好きなもんはな、喫茶店にあるのや。よう見てみい、いつもぎゃあぎゃあ言うて取り合っとるわ。あれは『おかいけいです』いうらしいで。」

きりこの魅力

どんどん力強くなっていくきりこに私は完全に魅了されてしまった。きりこの言葉が、とても刺さった。自分のしたいことを叶えてあげられるのは、自分しかいない。そう気づいたきりこは最強だった。

ぶすなのにあんな服を着て。そう言われたきりこだけど、ぶすって、誰が決める?目が大きかったらぶすじゃないのか?それって誰の基準?自分が着たいと思う服を着て、自分のやりたいと思うことをすれば良いじゃないか。それが「自分を大切にする」ってことじゃないのか。

あーあ、もう我慢するのやめよう。私は私のやりたいと思うことを、叶えてあげよう。そう思わせてくれる、良い物語でした。

 

 

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