普段から自分がどう人と接しているか、どんな仕事をしているか、それはピンチの時によく表れる。
先日、友人のNちゃんと、和菓子屋さんで買い物をした時のこと。夕方の時間で、買い物客はそこまで多くなく、まばらだった。よし、これにしよう、といちご大福を買おうとすると、会社員風の男性が横から「これを大きい箱に変えられますか?」と店員さんに質問をした。
お菓子の数を増やして、見本より大きな箱に詰めて包めますか?と聞いているようだった。「できますよ」と店員さんはにっこり微笑んで答えた。20台前半くらいだろうか、髪をポニーテールに結んだ、きりっとした印象の女の子だった。会社員風の男性は、その箱入りお菓子を2セット注文した。必然的に、私たちは2番目で待つことになった。
そこへもう一人、スーツ姿の男性がやって来て、ショーケースをのぞきこんだ。しばらく商品を眺め、その場から動かない様子を見ると、購入する商品は決めたようだ。現在のお客さんは、箱詰め男性、私たち、後から来たスーツ男性、という構図だ。
そこからの対応が、本当にすばらしかった。お姉さんは一人で一度に3組のお客さんを相手にするというピンチの状況なのに、完璧に仕事をしたのだ。
まず、箱詰め男性に「少々お時間いただきますが、よろしいですか」と声をかける。それから、テキパキと箱詰めをして包装紙で包んでいく。そのスピードは、まさにプロ。見ていて気持ちの良い手さばき、セロテープ使いである。
でもやっぱり、焦った様子は伝わってくる。応援を呼ぼうと電話をしたのに、つながらなかったのも焦りに拍車をかけたようだ。でも彼女が偉いのは、ずっと笑顔を崩さなかったこと。私だったらパニックになって、顔が引きつったことだろう。
そんなところで、なんと、隣のお店(栗の和菓子を扱う、別の店)の店員さんが和菓子屋さんのお姉さんに、「箱詰めしましょうか?」と声をかけたのだ!まさかのコラボレーション!和菓子屋同士の絆である。お隣の店員さんは、見よう見まねで、しっかりと箱詰めをした。
コミュニケーションを取ったことのない人を、手伝おうとは思わない。困ったときにすっと手を貸すというのは、普段からの人間関係がないとできないことだ。きっと和菓子屋のふたりは、これまでにも手が空いたときに話したりしていたんだろう。
全ての対応が終わった時、私は感激していた。彼女に全力で拍手を送りたい気持ちだった。思わず、Nちゃんと顔を見合わせて、「いいものを見たね」と言い合った。本当にすばらしかったです。
読んでいて顔がにやけました。
コミュニケーションしたことない人を手伝おうと思わないし、
もし申し出があったとしても、「ありがとうございます、でも大丈夫です」ってなってしまうような気がする。
いいものを見た話をありがとう!
そうなんだよね、そこで素直に「お願いします」って言える関係が良いと思ったし、お姉さんの人柄もあるんだろうなと思った。
いいものを見た話シリーズ、また書けたらいいな〜