カーマのチキンカレー

カーマのチキンカレーを愛している。

カーマというのは神保町にあるカレー屋さんで、雑誌にも頻繁に取り上げられる有名店である。神保町方面から、いつも行列を作っている、うどんの「まる香」を通り過ぎて、まっすぐに水道橋方面に進むとひっそりと存在する。この前、無性にカーマのチキンカレーが食べたくなって、ふらりと出かけてきた。

(急に書きたくなったので唐突に投稿)

ドアを開けて中に入ると、店全体が見渡せる。広くはない。落ち着く広さ。カウンター席が6席、テーブル席が2席。穏やかな雰囲気の夫婦が迎えてくれる。カレーを作るのはご主人の仕事で、注文が入ると奥さんが「チキンカレーひとつ」とご主人に伝える。狭い空間なので、お客さんの声はそのままご主人にも聞こえているはずだけれど、ちゃんと伝える。私はそのやりとりを見るのが好きだ。なんだか愛を感じる。お客さんへの愛と、ご主人への愛と。

奥さんはお客さんが少ないとき、本を読んでいることがある。これも神保町らしくて好きだ。本とカレーの街、神保町。私が久しぶりのチキンカレーを食べ始めた頃、1組のカップルが入ってきた。付き合いたてなのか、なんだか初々しかった。ふたりはメニューを見ながら何か言い合い、少し迷ってチキンカレーを注文した。私は「うん、正解!」と口に出さずに心の中で言う。自分の好きなものを選んでくれるのは嬉しい。

カーマのチキンカレーは南インド風で、サラサラのスープカレーなのだけど、なかなかの辛口である。スパイスがきいていて、ごろっと大きなじゃがいもとチキンも、ピクルスもレーズンもおいしい。あと、付け合わせの玉ねぎが最高。私はこれを食べに行っていると言っても、過言ではない。

先ほどのカップルの女の子は、「からいからい」としきりに水を口に運んでいる。彼氏はそれを、にこにこしながら見守っている。その光景を見ていて、私が初めてこのチキンカレーを食べたときのことを思い出した。

7年くらい前だったろうか、当時の恋人と神保町でカレーを食べようという話になり、わざわざ調べて訪れたのだ。「あったあった」とお店のドアを開けて、今カップルが座っているテーブル席に座った。お目当てのチキンカレーを口に入れた瞬間、「ああ、私はこのカレーが好きだ」と思った。

食べ物と記憶は、リンクしている。私にとってカーマのチキンカレーはあの懐かしい時を思い出させる食べ物だ。二度と戻らない時間。永遠に止まったままそこにある。

などと思い出に浸りながら書いていたら、また無性に食べたくなってきた。

インドカレー専門店 カーマ工房|インドカレーカーマ
神田神保町で創業22年のインドカレー専門店です。実店舗の他、素材や製法にこだわりを持ったカーマ工房にてカレーの通販、卸売も運営しております。

どうやら通販もやっているらしい。

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